映画『モリのいる場所』

遠くに行きたい。 どこでもいいから遠くに行きたい。 遠くに行けるのは、天才だけだ。 — 寺山修司   昔も今も好きな言葉です。 十代から30代半ばにかけて、私の生活の楽しみの多くは「旅」が占めていました。バイクや車、電車、飛行機、バス…手段は何でも良かったのですが、遠くに行く事、見た事が無い所を見る事に大きな価値を感じていました。過去形で書いていますが、今、旅を否定している訳ではありません。その頃の思い出はどれも大切ですし、その中で学んだ事や得た事も沢山あったと思います。でも、いつも「もっと遠くへ行きたい」という気持に終わりは無く、あれだけ来たかった場所に来てもその満足は続きませんでした。でも旅ってそういうものだと思っていたのでまた次の旅に出るのでした。 今年の始め、1台のバイクを手放しました。 旅をしなかったらストレスで狂いそうになってた頃もあったのに、今は年に一度、インドに行くのみです。でも旅が一番だった頃より今の方が遥かに楽しく生きています。 もうかなり前の話ですが映画『モリのいる場所』を観に行きました。 実在していた熊谷守一氏という画家が主人公のこの映画に興味を持った理由は、主演が山崎努さんと樹木希林さんだった事も大きいのですが、その熊谷守一氏こと「モリ」が数十年庭から外に出ずに蟻や池、魚、空を眺めたりして夜に絵を描くという生活を送っていたという点でした。

限りなく空洞に

「1日限定 Sivananda Yoga 夜クラス @ 生活ヨガ研究所」を終えました。 以前より「生活ヨガさんでしてくれたら良いのに」というお声を参加者の方からいただいていました。その生活ヨガ研究所さんで1日限定クラスを行わせていただけた事に感謝致します。お寺に来られてる方に大人気の生活ヨガさんですが、行ってみて納得、お寺と生活ヨガさんは気に入る何かが共通しています。面白いですね。 受付の段階でシヴァナンダヨーガは初めてと仰りつつアーサナは日頃からされている方が殆どでした。最初に少しお話をしてから、ガイディングは丁寧にしつつもベーシックなシヴァナンダヨーガのシークエンスを行いました。最初から真剣に向き合っている事が伝わってきました。 実は考えていた事とは結構違う事を最初にお話しました。「クラスはライブだよ」と仰った先輩の言葉、講義はその時いる人に向かって話していると仰る先生方のお言葉、その感覚の理解が回を追うごとに深まっています。 そして驚きつつ嬉しかったのが皆さんの「Om」のお声が大きく響いた事です。これはインド以来の体験でした。ご感想で「鐘の音みたいだった」というものもあった程です。マントラもお声を出してくださる方もいらして空気感が一気に集中モードになっていくのを感じました。 クラスの空気は場所や参加者、人数、気候、時間帯などでも毎回変わっていきます。この日は気温も参加者の集中力、興味、生活ヨガ研究所さんという場所の力も全てがうまく調和していました。そして全て終わってから拍手をいただいたのは初めての事でした。 その拍手はスワミ・シヴァナンダジからスワミ・ヴィシュヌデーヴァーナンダジ、そしてスワミ・ゴヴィンダナンダジと受け継がれた知識を私はフルートの様に空洞になってそのエッセンスを伝えられているだろうか?という疑問を少し小さくしてくれました。このシークエンスはスワミジが作り、伝えて来られたものですから、真っ直ぐ伝えられていたら良いと感じていただけるものです。良くないというお声が多いならばそれは私が変に曲げてしまった、フルートが曲がりくねっていてうまく伝わっていないという事です。 私はクラスを行う時は「限りなく空洞に」と思っています。   よくお顔を拝見する方々、お久しぶりの方々、初めてお会いした方で集中してクラスに取り組んでくださった方々、そしてクラスを持たせていただいた珠数先生、スワミジ達や私に教えてくださった全ての先生や先輩方。至る所に感じるグレース。本当に有り難いですね。 帰り道、駅を出ると冷たい雨でした。買ったばかりのビニール傘をさして、自転車置き場から自転車を出してる時点で濡れるウェアにヨガマットにリュック。 インドで降られた時はこんなものではなく、スワミジに「水たまりのコブラに気をつけて」と言われて恐れ戦きながらずぶ濡れで部屋まで戻った事が蘇りました。傘もささずに歩いてたなぁ。白いパンツが数日で土で赤茶けて、何本白いパンツを買った事か。笑 と思い出しながら自転車でずぶ濡れで帰りました。     あたたかかったです。