日本ではまだ認知されていない、描くお祈りコーラムについてまとめてみました。
・コーラム (Kolam)とは?
・何故コーラムを描くの?
・コーラムを描いてからこんなことがありました
・どうやって描くの?
・コーラムを描く米粉とは?
・コーラムを描いてみようかな?と思った方へ
コーラム (Kolam)とは?
コーラム(Kolam)とはインドに伝わる文化の一つで、伝統を守る家庭で朝に玄関前に白い粉で描かれた美しい模様です。
インドの写真などで目にされた方もおられるかもしれません。日本ではどちらかというとランゴーリ(Rangoli)という名前の方が知られているでしょうか。
コーラムという名前はタミルナードゥ州での名前で、ランゴーリは主に北インドで使われている言葉です。その他にも地域によってムッグー(muggū)、アリパン(aripan)、マーンダーナー(māṇḍanā)など色々な名称で呼ばれています。
また、地域によって特徴に違いがあるだけでなく、描く意味合いも違ってきます。よってここでは総称としては「床絵」としておきます。
これらの「床絵」はインドだからどこでも見られるというわけではありません。盛んな地域から全く見ることができないエリアもあり、地域色も強く出るものです。そして、残念ながらこの素敵な文化も少しずつ廃れてきつつあるようです。
タミルナードゥではまだ多く見られ、伝統的な生活を送っている家庭では毎朝女性が描いています。逆に同じ南インドでも私がアーサナを学んだアシュラムのあるケーララではテンプルの中でしか見る事がありませんでした。
大きなテンプルに入ると祭壇の前にシンプルなペーストコーラム(粉ではなく米粉を溶いたもので描きます)が描かれていました。
「床絵」は様々な描き方、デザイン、カラーがあります。
普段は白一色で特別な時だけカラフルになったり、日常的にカラフルなものを描く地域もあり、先述したようにテンプルの中で見られるものであったり、宗教的意味合いで描かれるものはシヴァ派、ヴィシュヌ派などで特徴もあるようです。
どの地域の床絵も素敵なものが多く、見ているだけでも楽しいものです。
何故コーラムを描くの?
コーラムを描く理由はいくつかあります。
- ラクシュミー(富の神様)を招く
- 禍を遠ざける
- サドゥーに「食事を提供します」という意味
- プージャー(儀式)の一環として
これらはほんの一部にすぎません。また、現代ではコーラムがあるからと食事を求めてサドゥーが入って来るいう事はないそうです。
また、サンスクリット語のपञ्चमहायज्ञ【pañcamahāyajñā / パンチャマハーヤッニャ】の中の一つであるभूतयज्ञ【Bhuta yajña / ブータヤッニャ】というものもあります。
これは動物や植物達に貢献する事です。例えば自分の庭の植物にはお水をあげる事は庭で植物を育てていたらよくある、更に外の公共の植物にお水をあげたりする事も立派なブータヤッニャといえます。
そして米粉で描くコーラムには雀や蟻が喜んで食べに来るのでブータヤッニャの一つなのです。また、描く前にお水で清めるので直接お米を食べない蜂も喉を潤しにくる事があります。
コーラムはこの様な理由があるので、鳥や蟻が食べて薄くなったり、お客様が歩いて消えて行く事は良い事とされています。
生徒さん達は崩さない様によけて歩いてくださるのですが、もしお越しになった時はどうぞ気にせずに歩いていただいて大丈夫です。
インドでは描いた直後にブーンとその上をバイクが走って行ったりしていました。
コーラムを描いてからこんなことがありました
庭に雀がよく遊びに来るようになりました^^
最初は家の中から覗いていても逃げていたのに、最近は庭にいても離れていたらコーラムを啄んでいます。また、毎朝しっかり掃除をする事で庭のタイルが奇麗になり、周りに植えている植物が元気になりました。
沢山花を咲かせるようにり、またその花を部屋のプチ祭壇にお供えにするので良いサイクルとなっています。
どうやって描くの?
とてもシンプルなものです。
まず、描く場所を清めます。そして米粉を手で摘んで地面に落として描いていくだけです。
最近では簡単に描けるように米粉を落とす為の筒状の道具を使ったり、テンプレートで簡単にする方法もあるそうです。
アシュラムでスワミジが「最近はそういう道具を使う人が増えたし、ストーンパウダーなど混ぜたりする事が増えたが、伝統的にはただ指で米粉で描くだけだ」と仰っていました。
私はそれを聞いてしまったので米粉だけにこだわってみています。
コーラムを描く米粉とは?
米粉だけだと描き辛いということもありストーンパウダーを混ぜる事もあるようです。実際私が習った時も米粉とストーンパウダーが混ざったものした。ストーンパウダーに重さがあるのでとても描きやすくなります。
いつもより上手に描けるので嬉しくなるほどです^^
代わりに塩を混ぜる方もいらっしゃるようですが、私は庭に描くこともあり米粉だけにこだわっています。お米の種類にはこだわっていませんが、玄米であれば白米にしてから使っています。
使いやすい米粉を作ることもできますが、最近はアシュラムで気軽に手に入る市販の米粉で描けるように練習を兼ねて、市販の米粉で描いてみています。
コーラムを描いてみようかな?と思った方へ
コーラムは元々は母から娘へ伝えられてきたインドの文化です。
私に教えてくださった方も何十年と描き続けて来られた方です。ですので教えますだなんて大仰なことは言えませんが、皆でコーラムを描く場を作り、日本でもコーラムを描く事を広げて行ければと思っています。
描く場所と人が集まれば必要なのは米粉だけと非常にシンプルです。母から娘に伝わると書きましたが、男性もお描きいただけます。
インドでお会いしたプージャリさんは男性ですがとても奇麗なコーラムを描くと聞きました。
不器用だから、絵が描けないからと仰る方も多いですが、元々南インドの女性が普通に母から習って描いていた物です。誰でも描けるようになります。
また、アートではなく、コーラムを描くという行いが大切なのであって、上手さを競う物ではありません(アーサナやキールタンと同じですね)。描いてみたいという気持ちだけで始めるに充分の資質だと感じています。
一緒に描いたり、日本にもコーラムが増えていくことを楽しみにしています。安心してトライしてみてくださいね。
でも…コーラムってお絵かきや綺麗な模様だけじゃないんじゃないの?とお感じの方はコーラムという描くお祈りをご覧くださいませ。