今更ですが、2023年の仕事納めは恒例の心光寺さん(ココヒカスタジオ)での『サンゲシマス』というイベントでの太陽礼拝108回でした。例年と違ったのは副住職の丈徳さんの法話だけでなく、「数珠繰り」が行われたことです。
この記事では数珠繰りと数珠、そしてそのルーツのマーラーについて触れてみます。
数珠繰りとは
「数珠繰りってご存知ですか?」
と丈徳さんに聞かれた時に思い浮かんだのが、ジャパの時にマーラーを繰る「あれ」でした。マーラーとはルドラクシャの実や水晶、トゥラシーなどの108個の珠がついた瞑想する時に使われる数珠です。「あれ」とはマントラを1回唱えたら繰り、一周繰ったら108回唱えたことがわかる数え方です。
仏教でいう数珠繰りとは、写真に写っているこんな大きな数珠を皆で繰るもののようです。珠の数は同じく108個だとか
途中に大きな珠があり、それを掲げるそうです。調べると「数珠繰り」「数珠回し」「数珠おくり」など、色々な呼ばれ方をしているともありました。浄土宗の知恩寺さん発祥で、地蔵盆の頃に行われることが多いようですね。
Facebookに書いたら京都の方が、
「地蔵盆前にやる数珠回し、みたいなものかな?」
とコメントをくださったので京都では風物詩のようなものなのでしょうか。京都の血が半分流れている筈ですが、恥ずかしながら京都の文化は本当に知らないものです。
日本はどちらかと言うと小さなものを作りたがる気がするのですが、奈良の大仏さんとか、大きな観音様とか、大きな数珠とか時々不思議に大きなものを作っていて面白いですね。個人的には東大寺の南大門を見上げる度に昔の日本人と今の日本人の感覚の違いが気になって仕方がありません。大陸の技術をそのまま使ったからなのかもしれませんが。
話がそれましたが、そんな大きな数珠を繰ることが年末に体験することができました。今年の年末にも開催予定とのことなので、まだ先ですが気になる方は頭の片隅に置いておいてくださいね。
マーラーとは
さて、マーラーの話に戻ります。
私自身は日本の数珠はそれこそ法事の時だけに使う形ばかりのものでして、日常的にはマーラーと呼ばれるインドの数珠を使っています。日本仏教の数珠も宗派で色々あるので長さも使い方も様々ですが、インドのマーラーは長めで首にかけるとロングネックレスくらいの長さになるものです。
珠は有名なものではルドラクシャ(菩提樹の実)ですね。上の写真のように茶色くてしわしわとした硬い実が繋がれています。「シヴァの涙」とも呼ばれていて、南インドのケーララのシヴァギリアシュラムにてまだ木になっている実を見たことがあります。もちろん乾燥してないのでふっくらしていましたが。
お土産のような扱いもされていますが、本来は気軽にアクセサリーとして身につけて良いものではないそうです。
シヴァの涙と先ほど書いたように、ルドラクシャのマーラーはシヴァを信仰している方やシヴァのマントラをいただいて瞑想する方に良いそうです。シヴァのマントラは強いものだとも聞いたことがあります。ジャパしていると気分が悪くなる方もおられたとか。「だそうです」「だとか」と聞いたことばかり書いているのは、私はあまりそういうもので気分が悪くなるタイプではないので聞いただけだからです。また、基本的には先生方が「しない方が良い」と仰ったら「じゃあやめとこう」と触らぬ触らぬ神に祟なしで、さらっと離れるからかもしれません。
そんな私のマーラーは水晶のものです。この時期は首にかけるとひやっとするのですが、水晶のマーラーはマインドを落ち着かせてくれる効果もあるとかなんとかで、こちらは気軽に身につけていても良いそうですよ。
私のマーラーはインドで学んだ時にプージャーでブレッシングしていただいたものです。日本語で言うならば祈祷していただいたもの、でしょうか。アシュラムでお手伝いをされていたゴパールジが仕入れてきてくださった良いもの、と当時お聞きしました。
マーラーの素材
マーラーはいろんな素材で作られています。トゥラシー(ホーリーバジル)の木のビーズなどもありました。クリシュナのマントラでジャパする方はトゥラシーが良いとか。このように、神様によってマーラーは選ぶと良いとも言われています。
神様とマーラーの組み合わせは私は以下のように聞きましたが、調べると他のものも出てきます。ネットの情報は基本的には鵜呑みにしないようにしているので、ここでは私が実際に聞いたことだけ表にします。また、インドの神様はもっと沢山おられるのですが、その時、出家したくなるからとかでハヌマンのマントラは希望した人がいても与えないとか、カーリーも強すぎるから与えないなどもありました。ですのでごく一部です。
ヴィシュヌ(クリシュナ) | トゥラシー(ホーリーバジルの木のビーズ) |
ガネーシャ | ローズウッド(紫檀) |
サラスヴァティ | クリスタル(水晶) |
シヴァ | ルドラクシャ(菩提樹の実) |
ラクシュミー | ロータスシード(蓮の実) |
インドに行ってヨーガの聖地とか呼ばれる所や観光客がいるところだとマーラーがザクザク売られているお店があります。恐らく真剣にジャパするものではなく、お土産感覚で売られているのだと思いますが、様々な石のマーラーがありました。
私は元々鉱物好きなのでくらくらしてしまうほどでした。ラブラドレッセンスの美しいラブラドライトのマーラーやピンクを多く含むトルマリンのマーラーなど、日本ではなかなかお高くなりそうな質のマーラーもリーズナブルで販売されていました。石が好きな方はインドではお財布の紐が緩んでしまうかも知れないのでご注意を。。
マーラーと数珠
108個と言う数字が同じこと、仏教で使われていることから、言うまでもなく日本の数珠もインドから伝わってきたものなのでしょう。
個人的にはダラムサラに行った時にチベットの方々がマーラーを手にOm Mani Padme Humを唱えながらマニ車を回す姿も思い出されます。
日本では日本仏教に姿を変え、略式数珠と本式数珠と分かれているようです。また、宗派で数珠の扱い方も大きく異なるようですね。また、108個は煩悩を表しているとかで、数珠を持って祈ることで自分の煩悩が消えていくとされているようです。
インドのマーラーは、前述したようにジャパをする時にマントラを一回唱えると一つずつ繰っていき、一周繰ると108回とわかります。ツールとして使っています。
日本では主に法事の時だけ形だけ使う数珠ですが、そのルーツでもあるマーラー、そして日本での使われ方について少し触れてみました。インドに行って何故か安心する、インドの方が日本に来て何故か共通点を感じるというのは形は変わってきているものの、根底で繋がるものがこのように沢山あるからなのかも知れませんね。
数珠を手にする時に少し思い出してみてくださいね。
まとめ
「数珠繰りとインドのマーラー」についての記事はいかがでしたでしょうか?
長くて大きな数珠をみんなで繰る「数珠繰り」、日本の数珠の起源である「インドのマーラー」についての説明、素材や神様との関係などを簡単にまとめてみました。
マーラーを持っているけど使ってない方は是非また手に取ってみてくださいね。また、インドに行かれる方でマーラーを欲しくなった時は少し思い出してみてくださいね。
ココヒカスタジオでのアーサナクラスについて
現在は第1・3・5土曜日にクラスがありますが、イレギュラーな月もあるので必ず心光寺(ココヒカスタジオ)の予約サイトでご確認くださいませ。
時々クラス後にご参加者と一緒にカレー会というものも行っています。ヨーガ仲間が欲しい方、クラスでは聞けなかったことなどをお尋ねいただくことも可能です。